小倉百人一首フェスティバル 2020 in Tokyo 特設ページ
百人一首の世界

和歌を通して王朝文化の輝きを追い求めた
藤原定家の撰による小倉百人一首

秀歌の背景を探訪することで
古の歌人たちが詞と韻律に込めた
心模様が鮮やかに浮かび上がる

恋の歌

あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む 003

003

あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む

柿本人麻呂

筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる 013

013

筑波嶺の峰より落つるみなの川
恋ぞつもりて淵となりぬる

陽成院

みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにし我ならなくに 014

014

みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに
乱れそめにし我ならなくに

河原左大臣

住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ 018

018

住の江の岸による波よるさへや
夢の通ひ路人目よくらむ

藤原敏行朝臣

難波潟みじかき葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや 019

019

難波潟みじかき葦のふしの間も
逢はでこの世を過ぐしてよとや

伊勢

わびぬれば今はた同じ難波なる身をつくしても逢はむとぞ思ふ 020

020

わびぬれば今はた同じ難波なる
身をつくしても逢はむとぞ思ふ

元良親王

今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな 021

021

今来むといひしばかりに長月の
有明の月を待ち出でつるかな

素性法師

なにしおはば逢坂山のさねかづら人に知られでくるよしもがな 025

025

なにしおはば逢坂山のさねかづら
人に知られでくるよしもがな

三条右大臣

みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ 027

027

みかの原わきて流るるいづみ川
いつみきとてか恋しかるらむ

中納言兼輔

有明のつれなく見えし別れよりあかつきばかり憂きものはなし 030

030

有明のつれなく見えし別れより
あかつきばかり憂きものはなし

壬生忠岑

浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき 039

039

浅茅生の小野の篠原しのぶれど
あまりてなどか人の恋しき

参議等

しのぶれど色に出でにけり我が恋は物や思ふと人のとふまで 040

040

しのぶれど色に出でにけり我が恋は
物や思ふと人のとふまで

平兼盛

恋すてふ我が名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか 041

041

恋すてふ我が名はまだき立ちにけり
人知れずこそ思ひそめしか

壬生忠見

契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは 042

042

契りきなかたみに袖をしぼりつつ
末の松山波越さじとは

清原元輔

あひみての後の心にくらぶれば昔は物を思はざりけり 043

043

あひみての後の心にくらぶれば
昔は物を思はざりけり

中納言敦忠

逢ふことのたえてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし 044

044

逢ふことのたえてしなくはなかなかに
人をも身をも恨みざらまし

中納言朝忠

あはれともいふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな 045

045

あはれともいふべき人は思ほえで
身のいたづらになりぬべきかな

謙徳公

由良のとを渡る舟人梶を絶え行方も知らぬ恋の道かな 046

046

由良のとを渡る舟人梶を絶え
行方も知らぬ恋の道かな

曾禰好忠

風をいたみ岩うつ波のおのれのみ砕けて物を思ふころかな 048

048

風をいたみ岩うつ波のおのれのみ
砕けて物を思ふころかな

源重之

みかきもり衛士のたく火の夜はもえ昼は消えつつ物をこそ思へ 049

049

みかきもり衛士のたく火の夜はもえ
昼は消えつつ物をこそ思へ

大中臣能宣朝臣

君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな 050

050

君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな

藤原義孝

かくとだにえやはいぶきのさしも草さしもしらじなもゆる思ひを 051

051

かくとだにえやはいぶきのさしも草
さしもしらじなもゆる思ひを

藤原実方朝臣

明けぬれば暮るるものとは知りながらなほ恨めしき朝ぼらけかな 052

052

明けぬれば暮るるものとは知りながら
なほ恨めしき朝ぼらけかな

藤原道信朝臣

嘆きつつひとりぬる夜の明くるまはいかに久しきものとかはしる 053

053

嘆きつつひとりぬる夜の明くるまは
いかに久しきものとかはしる

右大将道綱母

忘れじの行末までは難ければ今日を限りの命ともがな 054

054

忘れじの行末までは難ければ
今日を限りの命ともがな

儀同三司母

あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびのあふこともがな 056

056

あらざらむこの世のほかの思ひ出に
今ひとたびのあふこともがな

和泉式部

有馬山猪名の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする 058

058

有馬山猪名の笹原風吹けば
いでそよ人を忘れやはする

大弐三位

やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな 059

059

やすらはで寝なましものを小夜ふけて
かたぶくまでの月を見しかな

赤染衛門

今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言うよしもがな 063

063

今はただ思ひ絶えなむとばかりを
人づてならで言うよしもがな

左京大夫道雅

うらみわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ 065

065

うらみわび干さぬ袖だにあるものを
恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ

相模

音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖の濡れもこそすれ 072

072

音に聞く高師の浜のあだ波は
かけじや袖の濡れもこそすれ

祐子内親王家紀伊

憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを 074

074

憂かりける人を初瀬の山おろしよ
はげしかれとは祈らぬものを

源俊頼朝臣

瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 077

077

瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思ふ

崇徳院

長からむ心もしらず黒髪のみだれて今朝は物をこそ思へ 080

080

長からむ心もしらず黒髪の
みだれて今朝は物をこそ思へ

待賢門院堀川

思ひわびさても命はあるものを憂きにたへぬは涙なりけり 082

082

思ひわびさても命はあるものを
憂きにたへぬは涙なりけり

道因法師

夜もすがら物思ふころは明けやらで閨のひまさへつれなかりけり 085

085

夜もすがら物思ふころは明けやらで
閨のひまさへつれなかりけり

俊恵法師

嘆けとて月やは物を思はするかこち顔なる我が涙かな 086

086

嘆けとて月やは物を思はする
かこち顔なる我が涙かな

西行法師

難波江の蘆のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき 088

088

難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ
みをつくしてや恋ひわたるべき

皇嘉門院別当

玉のをよたえなばたえねながらへば忍ぶることの弱りもぞする 089

089

玉のをよたえなばたえねながらへば
忍ぶることの弱りもぞする

式子内親王

見せばやな雄島の海人の袖だにも濡れにぞ濡れし色は変はらず 090

090

見せばやな雄島の海人の袖だにも
濡れにぞ濡れし色は変はらず

殷富門院大輔

我が袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし 092

092

我が袖は潮干に見えぬ沖の石の
人こそ知らね乾く間もなし

二条院讃岐

来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ 097

097

来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ

権中納言定家