2006-01-11

第49期 名人位・第47期クイン位戦決定戦

(2003年1月4日 近江神宮勧学館)

第49期名人位決定戦
西郷直樹名人
(早大かるた会)
3 - 0 土田雅
(福井渚会)

一回戦 2枚差
両者お手付きを一回ずつ喫するも序盤から攻めの応酬で見応えのある1回戦。西郷名人は 22-20の2枚ビハインドから攻守に9連取し14-18と逆転。ここで西郷は「かく」で「かさ」 を払うお手付きをするが挑戦者土田は攻めが甘いところを西郷に拾われ、差を詰める事が出来ない。
中盤に入ると両者の取りにキレが増し好ゲームの様相を呈する。しかし土田は攻めるべき西郷陣の下段の単独札や分かれ札を西郷に抜群のスピードで守られ差を縮めることは出来ない。
80枚を過ぎて場に5枚残った「あ札」の取りがポイントとなる。土田は攻守にこの「あ札」を5枚とも取り90枚の時点で3-2と詰め寄る。西郷は冷静さを失わず、最後に敵陣右下段の「うら」を2字ピタリで払い先勝。土田は終盤「あ札」を見事に攻略 したがわずかに及ばず惜敗。

二回戦 6枚差
出札の少ない序盤戦挑戦者土田が拾い気味にリードを奪うが25枚目「わすれ」の時に自陣左下段「わすら」を触るお手付きで西郷名人に20枚セームと追いつかれる。厳しい攻め手を続ける土田だが出札に恵まれずノってきた西郷に攻守に2連取、3連取され14-20と6枚のリードを許す。土田は中盤から出札に恵まれ攻めがハマってくる。一方西郷も土田の攻めを阻む守りに心を砕いた為か土田陣の攻めがやや甘くなり土田に拾われるうちにお手付きも喫し11枚セームに追いつかれる。激しく追い上げる土田だが66枚目「さ」の時敵陣「せ」を払うダブルお手。しかしダブルお手にも崩れず身上の攻めに賭けて挽回を図るも74枚目「おく」の時に元あったところを触るお手つき。これが痛恨のダブルとなり3-11に。最後は攻め手を強めた西郷が連取し1-8で王手をかけ土田2連取のあと「せ」を守って6枚勝ち。土田は負けたが攻めのスタイルを貫き大善戦、3回戦以降の挽回が期待出来る出来。
西郷は永世名人の称号と名人戦15連勝の新記録に王手をかけた。

三回戦 15枚差
序盤西郷名人は土田陣への攻めはなく土田に自陣をキープされ18-21と3枚リードを許す。しかし土田は20枚目「おほけ」の時に相手陣「おおこ」を払ってお手付き。これがダブルお手付きとなって19枚セーム。その後も土田は西郷の攻めの甘さを突いて懸命に自陣をキープし16枚セームまでついて行くが42枚目「おおえ」の時にまたもや相手陣左下段で「おおこ」を払うお手付き。ここで西郷はすかさず共札の「たき」「あさ」と攻めて12-17を一気に5枚差をつける。その後土田はさらに46枚目「もろ」51枚目「たご」でお手つきをし淡々と攻める西郷の前に15枚の大差で完敗。
西郷は最年少の永世名人となり名人戦15連勝の新記録も達成した。

西郷名人

[第47期クイン位決定戦]
渡辺令恵クイン
(横浜隼会)
1 - 2 齊藤裕理
(京都府かるた協会)

一回戦 9枚差
試合開始早々から両者空札でも鋭く速い空振りをする素晴らしい立ち上がりをみせる。最初の出札は挑戦者齊藤が「ながら」を敵陣左中段を攻め取る。互角に進んだ序盤から一転19枚目「あらし」から5連取で渡辺クイン差を一気にリードを広げる。齊藤粘ってついて行くが48枚目「ゆら」で痛恨のセミダブルお手付きで9-15と6枚差。勢いにノッた渡辺に押されたか齊藤57枚目「みち」でもダメ押しのお手付きをしてしまい5-14で9枚差。渡辺このまま押し切って9枚差で1回戦勝ちを収めた。

二回戦 3枚差
序盤5枚目「かぜを」で渡辺クインいきなりセミダブルをし齊藤挑戦者早くもチャンス到来も空札が続き11枚目「あらざ」で我慢出来ずにお手付き。差が開かないまま淡々と試合が進んで行く。中盤にかかって空札で齊藤のお手付きが続き対する攻守に渡辺しっかり取って徐々に差が開き52枚目「みち」を渡辺が攻め取った時点で9-17の8枚差。しかしここから齊藤踏ん張り自陣を6連取も含め、5-7と2枚差に。齊藤83枚目「す」を右下段で守って4枚セーム。調子が回復した齊藤はそのまま4-1とリーチ。渡辺自陣「ふ」を左下段で守るが齊藤分かれ札の「あら」を敵陣右下段に抜いて3枚差で勝利。
これで対戦成績は1-1のタイとなり3回戦に決着が持ち越された。

三回戦 5枚差
休憩2時間挟んでの3回戦。2回戦の終盤失速して試合を落とした渡辺クインに対し終盤調子を回復し見事逆転した挑戦者齊藤。果たして休憩が両者にどう影響するのか。試合は調子が持続していた齊藤がやや押し気味にスタート。29枚目「はるの」で渡辺がお手を喫し14-20と齊藤が6枚リード。その後も渡辺は攻めに冴えが見られず、一方齊藤は着実に札を減らして行き、8-19と11枚差をつける。しかしここで終わらないのが渡辺永世クイン。気迫の取りと集中力で齊藤に連取を許さず、焦ったか齊藤52枚目「いまこ」でお手付きをし9-14となる。その後も渡辺は全身全霊で札を取り6-5と1枚差まで迫り永世クインの底力をまざまざと見せつけてくれた。しかし渡辺ここで力尽きたか齊藤が自陣を2枚続けて遅く守り6-3。最後は齊藤「さ」を敵陣右下段に抜いて嬉しい嬉しい新クイン誕生となった。
試合後感極まって嬉し泣きする齊藤選手の涙が印象的であった。
齊藤クイン1齊藤クイン2