2006-01-11
名人戦・クイン戦挑戦者決定戦
(2000年11月19日 かるた記念大塚会館)
名人位・クイン位挑戦者に鶴田(鹿児島)、中村恭(横浜)
第47期名人戦、第45期クイン戦の挑戦者決定戦は11月19日(日)、か るた記念大塚会館(東京:文京区)で行なわれ、名人戦の部では、西日本代表 の鶴田
究七段(鹿児島県かるた協会)が東日本代表の松川英夫永世名人(東 京東会)を2−0のストレートで下し、13年ぶり2度目の挑戦者の座を射と めた。またクイン戦の部では、東日本代表の中村恭子六段(横浜隼会)が西日
本代表の斎藤裕理五段(京都かるた協会)をやはりストレートで退け、5年ぶ り2度目のクイン挑戦権を獲得した。
鶴田、中村両挑戦者は来年1月6日(土)、競技かるたのメッカ近江神宮(滋 賀・大津市)で行なわれる名人戦、クイン戦の本戦に臨む。名人戦は史上初と なる九州勢対決(西郷名人は大分県出身)、クイン戦は5年前と同じ顔合わせと
なり、クイン戦史上2度目の同会対決となる。以下詳報する。
◆ 第47期名人戦挑戦者決定戦<11月19日・かるた記念大塚会館> |
鶴田究七段(鹿児島県かるた協会)2−0松川英夫九段(東京東会)
1回戦 ○鶴田( 6枚差)松川×
2回戦 ○鶴田( 8枚差)松川× |
◆ 第45期クイン戦挑戦者決定戦 <11月19日・かるた記念大塚会館> |
中村恭子六段(横浜隼会)2−0斎藤裕理五段(京都かるた協会)
1回戦 ○中村( 4枚差)斎藤×
2回戦 ○中村( 3枚差)斎藤×
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[名人戦挑戦者決定戦]
自陣もキープ!好調鶴田、松川名人位V10の夢阻む。
<1回戦>
・ 松川が、自陣右中断「はなの」をきれいに守ってスタート。序盤は松川が 自陣を中心に見事な取りを見せ押し気味に試合を運ぶが、要所でお手を連 発し鶴田の逆転を許す。
・ 鶴田は松川陣を攻めあぐねるも自陣をしっかりと取り、また松川の乱調を 見極めたか速さよりも手堅さ重視の試合運び、ノーミスで着実に差を広げ、 5−17と勝負の大勢を決める。
・ しかし、流石は百戦錬磨の松川、ここから目の覚めるような取りで反撃開 始、8−4と詰め寄り、東日本予選決勝の波多野戦で5-10から相手に1枚 も取らせずに大逆転勝ちした試合を彷彿とさせる見せ場を作る。
・ ところが松川の快進撃もここまで、やはり本調子ではないのか「もろ」を セミダブ、相手陣「おく」も自陣を払ってから拾う取り損で万事休す、最 後は鶴田が相手陣左中段「わすれ」をきれいに抜いて6枚差で先勝。
<2回戦>
序盤は両者がっぷり四つに組んだ接戦。鶴田は中盤から身上とす る攻めだけでなく、松川の攻め手の甘さを利して自陣左右で確実に札を拾い、 差を広げていく。松川は11−5とリードされた後半「この」で痛恨の準ダ
ブ。鶴田はその後も冷静に札をとりつづけ8枚で連勝。
[記者の眼]
ベテランと大ベテランによる熱のこもった見ごたえのある決定 戦だった。この両者は11年前にもこの挑戦者決定戦で相対し、この時はスト レートで松川が鶴田を下し種村名人(当時)への挑戦権を獲得している。鶴
田にとってはある種のリベンジの闘いであった今回の決定戦。鶴田は好調 をキープしていたのか、終始マイペースで着実に攻め、守りそれが勝利に つながった。一方の松川も要所では鶴田を寄せ付けないスピードを見せ、決
まり字の長い札の札際の強さも鶴田を上回っていたが、鶴田陣の攻めに迫力 がなく、鶴田に拾われたのが敗因となり、名人位通算10期の大記録は今年 もお預けとなった。
鶴田究選手の話
「11年前の松川さんとの対戦は相手ペースだったが、今回 は自分のペースで取れた。意外に自陣が取れたため、無理して相手陣を攻め にいかなかった。これも勝因のひとつと思う。西郷名人は強い名人だ。早く
挑戦したいと思っていた。近江では今日と同じように自分のペースで戦いた い。」
[クイン戦挑戦者決定戦]
固さの見えた斎藤に中村が2試合連続逆転勝ち。
<1回戦>
斎藤が持ち前のスピードでスタートダッシュに成功し、9−19 と大量リードするが、中村は斎藤のお手つきなどをきっかけに反攻。両者お 手つきの多い「乱打戦」となったが、最後は中村が逆転の4枚勝ち。
<2回戦>
一進一退の序盤戦。中村のお手つきをきっかけに斎藤が抜け出し 一時は11−17と6枚のリードを奪うが、中村は落ち着いて取り続け、今 度は斎藤のミスをきっかけに追い上げ8−8で追いつく。中村は中盤以降、
大舞台での緊張からか手の止まった斎藤を尻目に厳しい攻めを見せてリード を奪い、最後は3枚差で斎藤を振り切った。
[記者の眼]
最近の女流A級は吉峰、波多野淳、室田をはじめとする静岡雙葉勢などの 10代から20代前半の若い世代の台頭が著しい。 京都の斎藤もその一角を占め、この世代から初の挑戦者が生まれるか注目された。
確かにスピードはあるが、学生選手権を制した時のような手数が足りず、 中村の迫力ある攻めに圧されてしまっていた。 2試合とも終盤の競り合いを制することができなかったのは今後の課題として残ろう。
中村はやりにくい同会対決を再び演じることとなる。 モチベーションをどこまで高められるか注目だ。
第47期名人戦 <平成13年1月6日 近江神宮勧学館> |
西郷直樹名人(早稲田大学かるた会)VS鶴田
究七段(鹿児島県かるた協会) |
第45期クイン戦<平成13年1月6日 近江神宮勧学館> |
渡辺令恵クイン(横浜隼会)
VS中村恭子六段(横浜隼会) |
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