名人・クイーンをはじめ強豪選手を次々に輩出している福井渚会は同時に全国有数の会員数を誇るかるた会でもあります。福井の強さを支えている初心者育成のシステムを取材しました。
(1) 福井を支えている初心者育成システム
福井県の各市町には「子ども会育成連合会」という組織があり、青少年育成のための活動として「かるた」をはじめとして様々なレクレーションやスポーツを実施しています。
子ども会の担当者の中にはかるたの有段者はいません。子供の成長の一助として、また仲間づくりや自立心を醸成するツールの一つとしてかるたを教えており、近年は市町のかるた協会と連携してかるた教室を開いています。
教えを受けた子ども達のうち、かるたに興味をおぼえた子どもは100枚覚えて腕試しの機会を求めます。福井ではそれに応えて毎月のように小中学生対象の県内大会を開いており、熱心な市町のかるた協会も継続的に大会を開いています。かるたを覚えた子どもたちが腕試しをする機会が常に設けられていることはとても良いことと思います。
こういった子ども会でかるたに出会った子どもたちがかるた大会等で力を付け、「さらに強くなろう!」と思った子どもたちの受け皿となるのが登録会である福井渚会です。
福井渚会ではルール・マナーを段階的に再教育し、かるた好きの小中学生が競技かるたの選手に生まれ変わっていきます。福井渚会では山崎会長はじめベテラン会員が付いて指導されるとのことでした。
(2) このことから学べること
①子どもに着眼したこと
ちはやふるの影響もあり、近江神宮の全国大会を目指す高校生は多く、どんな都道府県でも大会を開くと多数の高校生が参加してくれます。一方、小中学生は意識して育成しなければなかなか増えてくれません。さらに、小中学生が参加すると保護者も送迎等を通じて何らかの形でかるたに関わってくれます。上手くいけば運営にも協力いただけます。
②行政との連携
子ども会育成連合会からの新人輩出は他県から見て羨ましいものです。福井では県教育委員会主催のかるた体験教室も毎月開催されているようです。他県では同様の取組みは難しいのかもしれませんが、コロナが概ね開けた今、行政・教育委員会を訪問して講座としてかるたを取り上げてもらえないか働きかけてみる価値はあると思います。
③かるた会側の熱意
子ども向けのかるた教室や行政との連携にしても「福井みたいに上手く行かないよ。」と思う方も多いでしょう。しかし、福井が初めからかるたが盛んだったわけではありません。かるたを普及しようと奔走された先輩たちがいたからこそ「子ども会」で採用されたのであろうし、それを支える子ども会指導者もかるたになじんでいたのでしょう。
まず「隗より始めよ」です。各かるた会が今よりももっとかるた仲間を増やそうと思う気持ちがあるなら、動き出すことが大切です。各かるた会の意気込み一つが今後のかるた会の盛衰を左右すると思います。
みんなで取り組んでいきましょう。