一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
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歌人
大納言公任
歌
滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ
現代語訳
この滝の音は絶えてから長い時が経ったけれども、その名声は流れ伝わり今でもやはり聞こえているよ。
出典
拾遺集 雑上 1035
決まり字
たき
【クイーン位決定戦】
★1回戦
「競技かるたを始めた時からこの舞台に立てることが目標に一生懸命やってきて、高校3年間の青春も全部かけてきた。明日は最後まであきらめず高校生らしく自分らしく頑張る。よろしくお願いします。」前日に行われた開会式での挑戦者・矢島のスピーチだ。
18歳・高校3年生の若さでたどりついた初のクイーン位決定戦。取り出しは初防衛をめざす井上に連取を許すが、すかさず3連取して逆転。20枚を読んで18-22と4枚のリードを奪う。対する井上もここから4連取して18枚セームとすると矢島は34よのなかよ の時に「よのなかは」をさわるお手つきをすれば、井上は14-18と4枚差とし、そのまま10-14と井上の4枚差のリードを守り、折り返す。
矢島は、51わすら で相手陣左上段の「わすれ」をさわるお手つきで、6枚差。井上は、このお手つきに乗じて4連取。56枚時点で6-15とリードを9枚差に広げる。
矢島は58あけ を自陣上段でしっかりと押さえ反撃開始。自陣左中段の61うか 、相手陣左中段の74こぬ で持ち前の高速の取りをみせるなどし、その差をじわじわと詰める。76枚目までで、4-7の3枚差となり勝負の行方は全くわからない。
追い上げられた井上も落ち着いて、80わすれ を右下段で押さえ、4枚差。矢島もすかさず81やまざ を右中段で守れば、井上は、83ほ を相手陣左下段へ攻め込み、逃げ切りをはかる。しかしながら、矢島は、85うら 、88わがそ 、89す を自陣でキープして2-3と1枚差までつめ寄る。
井上は相手陣右下段の91 ながか を速く攻め取り、1-3と先に王手をかける。矢島は93かく 、96ひとも と必死に守ってついに「運命戦」に。その運命戦では矢島陣の99やまが が読まれ、しっかりとキープした。矢島は3度お手つきで、終盤、9枚差をつけられるも最後まであきらめずについに運命戦で追いつき、勝ちを拾う。井上は冷静な試合運びで、終始優位に試合も進めるも矢島の粘りで大事な初戦を落としてしまう。
●井上菜穂クイーン 1枚 〇矢島聖蘭八段(対戦成績 井上0勝 矢島1勝)
★2回戦
1回戦、逆転されて勝利を逃した井上だったが、序盤は井上の僅差リードで進む。更に中盤、井上は矢島の3回のお手つきを利して8-15とこの試合最大の7枚リードを奪う。
矢島は3字決まりの63いまこ を敵陣左にしっかり攻めてからまず2連取。さらに攻守に5連取して8-7と1枚差まで追い上げるが、井上は73こぬ から攻守に6連取して1-8と王手。最後は85ちぎりお を左に確実に攻めて7枚差の勝利。対戦成績を1勝1敗のタイにし、1回戦の嫌な流れをここで断ち切った。矢島はこの試合5回のお手つきが致命傷となった。
〇井上菜穂クイーン 7枚 ●矢島聖蘭八段(対戦成績 井上1勝 矢島1勝)
★3回戦
どちらが先に第69期クイーン位に王手をかけるか注目の3回戦。滑り出しは井上が2回戦の余勢をかって先行。矢島も1、2回戦で見られたお手つきがなくなり、攻守に早い取りをみせて、2回戦同様、井上の僅差のリードで前半を終える。
後半、井上は守りのスピードと精度を高めて矢島の攻めをおさえ、78つく を自陣左でキープすれば3-7と4枚のリードを奪う。さらに井上は79あさぼらけあ 、83はなの と攻めて1-6と王手をかける。矢島はここから2枚守って、井上が残していた右下段の1枚・88みせ を攻め抜きさる。ここで矢島は、「みよ」を送り、1-3。矢島陣には、「あきの」「ありま」「わがい」が残る。井上は送られた「みよ」に意識が傾いたか、矢島は、90ありあ 、91わがい を右下段に守って運命戦に持ち込む。楠田専任読手が読んだのは、矢島陣の98あきの 。これをしっかりと守り、初のクイーン位にあと1勝とした。
●井上菜穂クイーン 1枚 〇矢島聖蘭八段(対戦成績 井上1勝 矢島2勝)
★4回戦
勝てば初のクイーン位を手にする矢島の4連取で始まるが、お手つきもあって、要所を確実に取る井上に25枚を読んで19-21と2枚のリードを許す。矢島は26たれ を渡り手で左下段に攻めるとギアを上げたか28あきの から4連取し15-19と逆転する。
初防衛に後がない井上は34あし を速く攻めるが、次の34もも でお手つきをして流れを引き寄せることができない。
矢島は42おおこ を左で守ると攻守に5連取してスパート。9-17の8枚リードで迎えた50なげけ 、51おも を圧巻の速さで右攻めすれば7-17と10枚リード。井上も着実で速い取りをみせるが、矢島の出足の良いスピードによる攻めが止まらない。矢島は最後は70あらし を右攻めして13枚差の勝利。17年ぶりに高校生クイーンが誕生した。
●井上菜穂クイーン 13枚 〇矢島聖蘭八段(対戦成績 井上1勝 矢島3勝)
さて、クイーン位決定戦4試合でポイントとなったのは、やはり1、3回戦の運命戦であった。1回戦、井上は、2-3で相手陣右下段の91 ながか を抜き王手をかけるも、運命戦で出ない「ふ」を残し敗れた。一方、3回戦では、矢島が、1-4の劣勢から、相手陣の88みせ を抜き、運命戦で出ない「みよ」を送り勝利した。この最終盤での1枚の送り札が明暗を分け、新クイーン誕生に繋がった。
矢島聖蘭第69期クイーン「うれしい気持ちでいっぱい。練習してくださった方など皆さんのおかげとしか言いようがありません。ずっと憧れていた場所だったので1、2回戦は緊張して思うような取りができずに試合が進んでしまった。4回戦は自分の納得いくかるたができた。」(試合直後YouTube中継のインタビュー)
西郷直樹審判長(永世名人)「いつもの矢島さんらしさが出たのは4回戦だけ。運命戦になった2試合は劣勢を挽回したことが素晴らしかった。もっと力を磨いて来年は4試合目のような試合を毎試合できるようにしてほしい。」(閉会式の講評)
小倉百人一首競技かるた第71期名人位決定戦、第69期クイーン位決定戦の模様はYouTubeにアーカイブされています。大激戦となった名人位決定戦、クイーン位決定戦の熱戦を是非お楽しみください。
以上