一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
在原業平朝臣
歌
ちはやぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くくるとは
現代語訳
あの神代にも聞いたことがないよ。龍田川の水を真っ赤に括り染めにするとは。
出典
古今集 秋下 294
決まり字
ちは
小倉百人一首競技かるたの第71期名人位・第69期クイーン位挑戦者決定戦は2024年11月17日、東京都文京区のかるた記念大塚会館で行われた。名人位挑戦者決定戦は、東日本代表、嵓田光洋六段(慶應かるた会)と西日本代表、自見壮二朗七段(九州大学かるた会)との対戦、クイーン決定戦は、東日本代表、矢島聖蘭七段(関東第一かるた会)と西日本代表、薄井恭子六段(大津あきのた会)との対戦となった。
挑戦者決定戦は3番勝負で行われるが、名人位決定戦、クイーン位決定戦とも稀に見る大激戦となり、いずれもフルセットの末、名人位挑戦者には自見七段、クイーン位挑戦者には矢島七段に決まった。自見七段は、2回目の名人位戦への挑戦、矢島七段は初のクイーン位への挑戦である。いずれも初の名人位・クイーン位の獲得をめざし、年明け1月11日、近江神宮の畳に上がる。
【名人位挑戦者決定戦】
1回戦
嵓田光洋六段(慶應かるた会)× 5 〇 自見壮二朗七段(九州大学かるた会)
自見が取り出しから優位に試合を進めるが、嵓田も得意の相手右陣への攻めと自陣の固い守りなどで17枚セームと追い着く。その後、一進一退の攻防が続くも自見は16-13の3枚ビハインドから攻守に8連取し8-13と抜け出す。自見はその後も攻守にキレのある取りで札を減らしていくが、嵓田も敵陣、自陣と粘り強く食らいついていき、4-6と2枚差まで迫る。しかし自見は、ここで敵陣左上段の「もろ」を電光石火の攻め、続く、右下段「む」も抜き去り、2-6。そのまま5枚差で勝利した。
2回戦
嵓田光洋六段(慶應かるた会)〇 3 × 自見壮二朗七段(九州大学かるた会)
初の挑戦者の座に後がなくなった嵓田。序盤は自見と互角に取り合うが、冷静沈着に取りを続ける自見を2~4枚で追いかける展開となる。中盤12枚セームと追いついた嵓田が逆転する契機となったのは自見のお手つき、「あまの」、「きり」と2度のお手つきで、中盤から後半は逆に嵓田が2~3枚のリードを保って終盤を迎える。最後は「おと」を攻め取った嵓田が3枚差で勝ち対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んで初の名人位挑戦者に「逆王手」をかけた。
3回戦× 5 〇
嵓田光洋六段(慶應かるた会)× 1 〇 自見壮二朗七段(九州大学かるた会)
20枚セームから嵓田が攻守に冴えをみせ、「あまの」を右下段で守れば15-19と4枚のリードを奪いペースをつかむ。中盤、自見の攻めがやや甘くなったところをついて嵓田は「きみがためを」、「もろ」、「はるす」を左右に守って7-16と9枚の大きくリードを広げる。中盤以降の粘りに定評がある自見はここから「いまこ」、「うら」、「わすれ」、「みかの」と敵陣左を攻めて、「をぐ」を自陣の左上段で守れば6-12とする。ここで嵓田に鼻血のアクシデント。試合は一時中断。追い上げ態勢に入った自見だったが、再開後、「たご」でダブルとなるお手つきをするなどして調子に乗れず、一方嵓田はこのお手を機に完全に試合を支配する。更に嵓田は2-9から敵陣左下段の「さ」を鮮やかに攻めて1-9と初の名人位挑戦者に王手をかける。追い込まれた自見だが、ここから得意の終盤の粘りで強烈に巻き返す。嵓田も敵陣左下段の「せ」を超トップスピードで攻め込むも自見はその攻めを上回る感じで、最後の1枚は許さない。ついに、勝負は運命戦にまでつれこんだ。近江神宮行きのチケットとなった最後の出札は「ありま」。自見が右下段で確実に守って勝利。自見は9-1からの大逆転勝ちで4年ぶりに川瀬名人が待つ近江神宮の畳にあがる。
【クイーン位挑戦者決定戦】
1回戦
矢島聖蘭七段(関東第一かるた会)〇 4 × 薄井恭子六段(大津あきのた会)
東日本予選を制した高校3年生・矢島聖蘭七段(関東第一かるた会)と元クイーン薄井恭子六段(大津あきのた会)の初戦。序盤は両者とも敵陣に小気味いい取りをみせるが、両者そろってお手つきが多くスタートダッシュができない。中盤10枚セームから抜け出したのは矢島。「あはじ」、「たち」など攻守に5連取すると薄井のお手つきも絡んで3-11と大きなリードを奪う。薄井は自陣の守りで追い上げるも最終盤は落ち着きを取り戻した矢島が落ち着いて札を減らし、最後は自陣左のありまを守って4枚差で先勝。初のクイーン位挑戦にあと1勝とした。
2回戦
矢島聖蘭七段(関東第一かるた会)× 7 〇 薄井恭子六段(大津あきのた会)
強烈な攻めが持ち味の両者が取り出しから敵陣左右を攻めて取り合う展開であったが、矢島は「ひとも」で敵陣をお手付き。これを機に薄井はリードを奪い、序盤・中盤は薄井優位で試合は進む。終盤に入り7-9と薄井2枚リードで迎えた「あはれ」を薄井が自陣左で守る。矢島は攻め損ねたのか、悔しそうな表情を浮かべる。続く「うら」は矢島が左下段でキープして6-8と2枚差に詰め寄るが、1枚おいて読まれた「あまの」で矢島がお手付きをすれば、5-9と薄井のリードは4枚に広がる。薄井はここでスパート。4-7から気迫の攻めの4連取で7枚差の勝利。対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んだ。
3回戦
矢島聖蘭七段(関東第一かるた会)〇 14 × 薄井恭子六段(大津あきのた会)
矢島も薄井も攻めを得意とするが、この試合の取り出しは相手の強い攻めを自陣の左右でしのぎ合う展開。しかしながら、薄井のお手つきから一気に矢島のペースとなる。矢島は、左右への攻めが冴えはじめ、「あまの」を攻めた時点で13-23と大きなリードを奪う。中盤以降、出札は薄井陣に集中。薄井は懸命のガードで札を減らすが、矢島の攻めも途切れず、差は縮まらない。最後は矢島が「かく」を右下段にきれいに攻め取って14枚差で勝利。10月の東日本予選をオール束勝ち、10枚以上の差で勝ち上がった高校チャンピオンの矢島が初のクイーン位挑戦者の允許状を手にした。矢島は中学3年生でクイーンになった楠木早紀永世クイーン以来、16年ぶりの「高校生クイーン」をめざし年明け井上菜穂クイーンに挑む。