一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
清少納言
歌
夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ
現代語訳
夜の深いうちに鶏の鳴き真似をしてあの函谷関の番人はだませたとしても、決してこの逢坂の関は許しませんからね。
出典
後拾遺集 雑二 939
決まり字
よを
今年で5回目を迎える本大会。出場選手の顔ぶれを見ると、注目は初出場となる新クイーン井上選手と女流選手権を制した原選手。若手2人が歴代の優勝者でもあるベテラン山下選手、山添選手の牙城を崩すことができるのか。次に男性は2度目の名人位防衛を果たした川瀬選手、選手権覇者である自見選手、選抜覇者の粂原選手、加えて2年連続出場となる準名人の堀本選手と現時点の最強4名が揃った。過去1度も男性が優勝しておらず、特に準優勝経験のある川瀬選手、自見選手、粂原選手は今年こそはと意気込んでいるはず。
以下、1回戦の組み合わせについてそれぞれの見どころを簡単にあげる。
■井上vs原
普段通りの実力を出すことが難しい独特の緊張がある中、初出場となる両選手の序盤に注目したい。井上選手はクイーン戦において初出場とは思えない落ち着きと高い集中力を発揮した。本大会でもその力を発揮できれば初戦突破は見えてくるはずだが、クイーン戦を終えた安堵や疲労も考えられる。しっかり手元で音を聞いてきれいに取る井上選手に対して、原選手は読んだ瞬間に手を出して音を聞くスピードに任せた取りをする。お手つきや払い残しといったリスクも抱えたスタイルであり、当たれば勝機はあるが、当日その1枚が読まれるまでは全くわからない。対照的なスタイルの2人の対戦に注目いただきたい。
■山添vs山下
クイーン位は失冠したが総合力では最強の山添選手。過去3度の優勝を誇る山下選手に唯一土をつけ優勝した経験もある。クイーンという重圧から解放され、所属の京都小倉会以外で指導を仰ぎ正面からぶつかっていける山下選手との本気の勝負を楽しんで欲しい。対する山下選手はここ一番の大会、試合にめっぽう強く、この大会にかける意気込みは相当なものがある。不安要素があるとすれば練習量ではあるが、4大会で10勝1敗という実績が「私の大会」と言い切る自信につながっている。両者の鋭くきれいな取り、気迫、さらには美しい振る舞いまで見ていただきたい。
■川瀬vs粂原
個人的には一番の注目の対戦。一昨年、昨年と名人戦で死闘を繰り広げ、本大会での戦績も1勝1敗と実力は拮抗している。お互いの存在が影響し実力を高め合っている、まさにライバルと言えるのではないだろうか。川瀬選手は粂原選手との対戦を通して苦手な終盤を克服し自信と勝負強さ、自陣の取り方も身につけつつある。一方の粂原選手は配置も変えてすべての札を取る力を高めている。2人の名人経験者がスタイルを変えてまでさらなる高みを目指しており、この試合も進化していく過程となるだろう。これまでの対戦は粂原選手の右陣が勝負のポイントであったが、両者のすべての陣を使った頭脳戦、スピード戦が期待できる。
■堀本vs自見
過去2度の対戦はいずれも自見選手が勝利しており昨年の選抜大会以来の対戦となる。堀本選手は名人戦への出場を果たすまで成長するものの結果はストレート負け。対する自見選手は全日本選手権のタイトルを獲得するものの、名人戦は残念ながら予選敗退。両者ともに今のままでは名人に届かない自覚、そしてこの対戦が名人戦の挑戦権に繋がっていくことも認識しているはずだ。そう言った意味でも2人の真剣勝負は見応えがあるものになるだろう。両者の速さのタイプ、取り方が違うため何度も手が交錯するようなシーンがあるだろうが、名人を目指す選手同士、この大会に相応しく相手を尊重したきれいな取りを披露してくれることを期待したい。
以上