一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
光孝天皇
歌
君がため春の野に出でて若菜つむ我が衣手に雪は降りつつ
現代語訳
あなたにさし上げるために春の野に出て若菜を摘む私の袖に、雪はしきりに降りかかかって来て。
出典
古今集 春上 21
決まり字
きみがためは
第70期名人位・第68期クイーン位決定戦は1月6日(土)滋賀県大津市の近江勧学館で開催され、名人位決定戦は川瀬将義名人(三島せせらぎ会・29歳)が挑戦者の堀本秋水六段(東大かるた会・26歳)をストレートで退け三連覇した。また、クイーン位決定戦(以下クイーン戦)は4回戦いずれも接戦。挑戦者の早大かるた会所属の井上菜穂六段(23)が山添百合クイーン(京都小倉かるた会・32歳)を破り、クイーン位初挑戦で初のクイーンとなった。4試合中3試合が両者最後に1枚ずつを持つ「運命戦」、残る1試合も2枚差の大熱戦となった。
名人位戦・クイーン位戦ともに「5本勝負」で先に3勝した方が名人位・クイーン位のタイトルを手にする。新型コロナの「5類移行」後初の名人位戦・クイーン位戦で、選手らには去年まで必要だったマスクは必要なくなった。また勧学館1階には大会5日前の元日に起きた「令和6年能登半島地震」の義援金箱が置かれ、浄財を入れる来館者の姿も見られた。
6日の大津市の最低気温は3℃。今年は大津市も暖冬傾向で、この朝も時折日射しが届くなか午前8時40分。松川英夫会長はじめ4選手や役員が近江神宮本殿に参拝。恒例の報道陣向けの写真撮影やデモンストレーションのあと熱戦の火ぶたがきって落とされた。
【名人位戦】
★1回戦
攻めを身上とする両者。最初の1枚は東大かるた会創立40年の節目に初の名人位を狙う堀本が攻め取るが、川瀬名人の攻めが冴え4連取・出札にも恵まれさらに連取を重ね、35枚までに11-20と「ほぼダブルスコア」の大きなリードを奪う。
閉会式の講評で西郷直樹審判長から「1回戦は名人位初挑戦で硬さがあった」と評された堀本は反撃を試みるが、7枚差で迎えた友札の54おおこで喫したお手つきが「ダブル」となり、15-5とリードを10枚に広げられる。前夜祭で「防衛というより純粋にかるたを楽しみたい」と語っていた川瀬名人は、その後も攻守が冴え76きりを敵陣左に攻めて13枚差で勝利[10時40分終了・横谷裕三子専任読手]。
〇川瀬将義名人 13枚 〇堀本秋水六段(対戦成績 川瀬1勝 堀本0勝)
★2回戦
初戦を大勝した川瀬名人は序盤、初戦終盤のいきおいそのままに連取を重ね、34枚までに14-22と8枚のリードを奪う。劣勢の堀本の反撃は35枚目うら、36枚目あきのの連取から。次の37枚目で川瀬名人がお手つきをすると次の38わびを堀本が取って15-18と3枚差に迫り。69枚目に8-8と追いつく。この後は両者がお互いに3連取を許さない接戦の展開となるが、最後は川瀬名人が2-3の1枚リードから 91こぬ、92たごを敵陣左で攻め取り2枚差で連勝し、名人位防衛に王手をかける。堀本は中盤から後半にかけての攻勢で追いつきはしたものの、名人からリードは奪えなかった。[11:41序歌 12:53試合終了 稲葉修至専任読手]
〇川瀬将義名人 2枚 ●堀本秋水六段(対戦成績 川瀬2勝 堀本0勝)
★3回戦
川瀬が勝てば2度目の名人位防衛となる3回戦。先行したのはこの試合を落とせば敗退が決まる挑戦者の堀本。攻守に3連取をみせるなどして10枚までに19-23と4枚のリードを奪う。対する川瀬名人も13枚目こころにの堀本のお手つきを契機にペースをつかみ16-14の2枚ビハインドで迎えた40ひとは・41おおえ・42わすれと3連取して13-16と逆転。中盤は攻守に早い取りを繰り出す川瀬の2~4枚のリードで進む。堀本は終盤の入口66いにでお手つき。これで5-11とした川瀬は一気に勝負を決めにいく。69こひの攻めから3連取、さらに2連取して1-9と王手をかけ、最後は粘る堀本に6枚差で勝ち名人位V3を果たす。東大かるた会は創立40年の節目の年での初の名人誕生はならなかったが、会場には草創期のメンバーらも近江勧学館にかけつけ後輩の戦いを見守っていた。[13時50分序歌 14時54分試合終了 広本幸紀専任読手]
〇川瀬将義名人 6枚 ●堀本秋水六段 (対戦成績 川瀬3勝 堀本0勝)
川瀬将義第70期名人「実力が出せてしっかり勝つことができて良かった。落ち着いてはいなかったが負けない戦いができた。応援していただいた皆様ありがとうございました」(名人位決定直後)
西郷直樹審判長(永世名人)「川瀬名人は自分の中で環境を変えながらさらなる高みを目指していく姿勢が今回の防衛につながった。不本意な部分、納得できない部分は来年ぶつけて欲しい。堀本挑戦者は練習熱心で研究熱心。安定した力があってここまで勝ち上がっているのは誰もが認めるところ。でもまだまだ名人との力の差があった」(閉会式の講評)