一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
中納言朝忠
歌
逢ふことのたえてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし
現代語訳
逢うことがまったくないのだとしたら、かえってあの人の冷たさや我が身のつらさも恨んだりはしないのに。
出典
拾遺集 恋一 678
決まり字
あふこ(読み方: おおこ)
3期目を目指す川瀬将義名人に堀本秋水六段が挑む。これまでの戦績は3勝と川瀬名人がいずれも勝利しており、実力や相性も含めて名人有利との声が多数。対する堀本挑戦者は常に入賞・優勝を重ねており、安定感と勝負強さが増している。名人が年下挑戦者をどのように跳ね返すのか、また挑戦者が大きな壁をどのように越えようとするのか、その姿に注目していただきたい。
川瀬名人は初防衛戦となった昨年、第5戦まで戦いさらに2度の運命戦を制しての辛勝であった。防衛戦かつ前名人との対戦に極度のプレッシャーがあったと推測するが、勝ち切ったことで得た経験は大きい。
また、自ら環境を変え競技かるたの普及にも今まで以上に精力的に取り組み、活動の幅を広げている。名人という立場が与える影響の大きさも実感しているはずだ。一方でこれまでのような練習量が確保できていない不安もある。12月の愛知大会では若手選手に終盤競り負けた。勝負勘が鈍っているのかもしれない。しかしながら肉体と精神が充実した時期を迎えており、調子を整えてくるだろう。
堀本挑戦者は、40周年を迎えた東京大学かるた会から3人目の挑戦者となり、初の名人位獲得を狙う。緊張に打ち勝ち初戦から自分らしい取りでペースを掴むことができるのか、これが大きな鍵を握る。東大かるた会の伝統である相手陣への鋭い攻めで、切り拓いて欲しい。
現在は医師という職業柄、練習時間の確保が難しいことを一般的には想像するが、時間をつくり努力によって一歩ずつ登ってきた。その原動力は東京大学かるた会の先輩や仲間の存在だろう。入学後に指導を受け仲間とともに成長してきた。現に一昨年、昨年の東日本予選では堀本挑戦者の優勝だけでなく東京大学かるた会としての強さが目立った。昨年秋に開催された東京大学かるた会創立40周年記念全国大会の運営を見ても、OBOGを含めた組織力の高さが顕著に現れていた。会全体の総合力で練習と研究を重ねて、川瀬名人をどのように倒すシナリオを描くのか、対策は十分だろう。
試合での注目ポイントは、お互いに相手陣へ繰り出す鋭い攻め。ここに駆け引きが加わり、相手の攻めを交わす配置や送り札が高いレベルで行われるだろう。ただし過度に相手を意識して対策ばかり講じようとすると攻め損ねて自滅もありうる。川瀬名人の自陣を取る力が上がっているので、総合力では名人有利ではあるが、両選手がどのように仕掛けていくのか注目していただきたい。
最後に、今年は第70期を迎える。これまで14人の名人が誕生して歴史を繋いできた。かるた界にとっての節目であり新たなスタートとなる。両選手の健闘を期待したい。
※写真は第69期名人位決定戦の写真です。