一日一首
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歌人
後鳥羽院
歌
人もをし人もうらめしあぢきなく世を思ふゆゑに物思ふ身は
現代語訳
人がいとおしくも、恨めしくもあるよ。つまらないものだと世の中を思うために物思いに苦しむ我が身は。
出典
続後撰集 雑中 1202
決まり字
ひとも
第70回名人位・第68回クイーン位の挑戦者決定戦
令和6年1月6日 堀本・井上が川瀬名人・山添クイーンに挑む
小倉百人一首競技かるた第70回名人位・第68回クイーン位挑戦者決定戦は、令和5年11月19日(日)、東京都文京区かるた記念大塚会館で行われた。
名人位挑戦者決定戦は、2年連続で東日本予選を制した堀本秋水六段(東京大学かるた会)と西日本予選で粂原準名人を倒したベテラン三好輝明八段(福井渚会)の対戦となった。
一方、クイーン位挑戦者決定戦は、東日本代表は井上菜穂六段(早稲田大学かるた会)、西日本代表は石田みのり五段(京都大学かるた会)といずれも初の挑戦者決定戦となる二人の対戦となった。
名人位挑戦者決定戦は、堀本が初戦を落とすもその後連勝で、2-1の逆転勝利。
一方、クイーン位挑戦者決定戦は、井上が初戦を逆転で勝利すると、2回戦も僅差の勝負を押し切った。
挑戦者は両者とも二十代。いずれも初めて挑戦者として近江神宮の畳に上がり日本一に挑む。(敬称略)
1回戦
<名人戦>
1回戦は、両者攻めあって13枚セームで折り返す。三好はここから出札を利して敵陣を攻め6連取し7-13と抜け出す。さらに堀本が「あらざ」で自陣をさわる準ダブルをすれば三好は5-14とリードを広げる。堀本は、直後の三好のお手もあって6-9まで追い上げるが、三好がここから相手陣を攻めて6連取して9枚差で勝利。ベテランのうまい試合運びとその技を遺憾なく発揮し、挑戦者に王手をかける。
<クイ-ン戦>
1回戦は序盤から石田の敵陣左右への攻めが冴え9-14、6-11と一時は5枚のリード。しかし石田は5-9から「きみがためお」で相手陣上段の「きみがためは」を触るお手つき。8-6と2枚差に迫った井上は5-5で追いつき、接戦のまま最終盤へ突入する。石田は2-2から88枚目「なにはえ」を敵陣左に攻めて1-2と先にリーチをかけるが、井上はここから右下段に並んだ2枚の内側「きみがためは」を守って運命戦に持ち込み。最後も90枚目「たれ」を守って逆転勝ち。重要な初戦を逆転で制した。
2回戦
<名人戦>
堀本は序盤から三好に15-23と大きなリードを許すも堀本は中盤に入ると出札にも恵まれ3連取するなど追い上げを図る。57枚目「みち」を左側で守れば9-11と2枚差に迫り、62枚目「なにわが」を右中段で守って、ついに9枚セームに追いつく。三好は7-8の1枚リードから72枚目「よも」で自陣右下段を触るお手つきで堀本に逆転を許す。さらに三好は8-5の3枚ビハインドから「わたのはらこ」で敵陣の「わたのはらや」に触れる痛恨のダブル。3-9と大きくリードした堀本は、最後1-7から86枚目「こころに」を攻め取って7枚差の勝利。逆転で対戦成績を1勝1敗のタイにした。
<クイ-ン戦>
1回戦を逆転で制した井上が攻守にキレのある取りをみせリード。石田も良く攻め、中盤は僅差の取り合いに。井上は10枚セームから4連取して6-10抜け出すも石田も粘り強く札を拾い、6-8の2枚差。ここで、井上は、「あらし」で準ダブを犯し、7-6と逆転を許す。この試合最大のチャンスが訪れた石田だったが、1枚空札の後の「こい」を井上が相手陣右上段を素早く抜き去り、さらに自陣左下段「わび」を戻り手で押さえ、右下段「よのなかよ」をきっちりと守り、井上4-6と2枚リード。石田も「ほ」で相手陣右下段を狙いすました突き取り、4-5と1枚差となり勝負の行方はわからない。しかしながら、71枚目の「この」で、石田が痛恨のダブル。2-6と大きくリードした井上は、73枚目「きり」で相手陣左中段をきれいに攻め取り1-6と王手。「あらざ」を右下段で守って5枚差で勝利し、2連勝でクイーン位戦挑戦者決定戦の決着となった。井上は、今年に入って4月の全日本選手権で4位、6月の女流選手権で3位に入るなど着実にその実力をつけてきた。そして、68期クイーン戦で、初めてクイーン位挑戦者の允許状を手にした。
3回戦
<名人戦>
1回戦強さを見せつけ先勝した三好が、その本来のかるたを取り戻せるか、2回戦を逆転勝ちで拾った堀本がその勢いのまま初の挑戦者の座を射止めるか、注目の3回戦が開始される。序盤は双方取り合いリードしても2~3枚の僅差の展開。中盤に入り三好は堀本陣左側の攻めが甘くなったところを戻られ、堀本が12-15とリード。堀本はここから攻守に冴えをみせて5-10と差を広げる。一方の三好は3-9のビハインドから攻守にキレのある取りで2-6と追い上げる。堀本は「あけ」の時に左下段を触れるお手を喫し3-5と追い詰め寄られるが、ここから堀本は「あさぼらけあ」で相手右下段を突き攻めし、続いて自陣右上段の「おほえ」を守り、最後は「なつ」を右下段に攻める3連取で5枚差の勝ち。見事、近江神宮への切符を手に入れた。一方、三好は随所にベテランらしい技を見せ粘り強く戦ったが最後に力尽きた。
挑戦者決定戦は、いずれも大変見応えのある対戦であった。死力を尽くした4選手の健闘を称えるとともに、初挑戦する二人にエールを贈りたい。