一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
赤染衛門
歌
やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな
現代語訳
ためらわずに寝てしまえばよかったのに。おかげで夜がふけて傾くまでの月を見てしまったよ。
出典
後拾遺集 恋二 680
決まり字
やす
涙の初優勝!「小倉百人一首競技かるた第45回全国高等学校選手権大会(団体戦)」は、令和5年7月22日(土)滋賀県大津市の「高校かるたの聖地」近江勧学館など5会場で行われ、優勝候補として前評判の高かった東京第1代表の関東第一高が初優勝。2014年の創部から9年め・2度目の出場で「高校団体日本一」の優勝旗を手にした。
*段位・将順等は大会プログラムに基づく
団体戦前日 7月21日(金)16時45分 開会式(近江勧学館)
この日の大津市の最高気温は午後3時40分の34.4℃。猛暑日に近い気温ながら「危険な暑さ」とは言い難い暑さの中、出場59校が次々と会場に集まってくる。本殿を参拝、コミック「ちはやふる」の映画化以降、すっかり定着した本殿につながる石段での記念写真を撮る光景が今年もまた見られた。今年の予選参加校は399校、1600人を超す高校生が高校日本一をめざして大津の地に集結した。
今回は前回優勝の渋谷教育学園幕張(千葉)、準優勝の暁星(東京)がいずれも予選で敗れ不参加。開会式では、前回3位の東農大二(群馬)の河口凛主将が「一枚一枚に思いをこめ支えてくれた全ての人に感謝し、仲間と共にあきらめず悔いの残らない試合をすることを誓います」と選手を代表して宣誓した。
団体戦当日 7月22日(土)近江勧学館とその周辺
【準々決勝】
前橋女子(群馬第1)2-③浦和明の星女子(埼玉第1)
飯田(長野第2)を5-0で破って準々決勝に進出してきた前橋女子だが、第40回大会の優勝校・浦和明の星女子(埼玉)に及ばず。浦和明の星女子は2勝2敗から主将の信田が3枚で前橋女子の四将荻原を退け準決勝に駒を進めた。
流通経済大学柏(千葉第1)2-③横浜平沼(神奈川第2)
流通経済大学柏は鹿本(熊本)、横浜平沼は鶴丸(鹿児島)と九州勢に勝ってベスト8に駒を進めてきた。流経大柏が2-1と先行するが、横浜平沼は五将金子が流経大柏の四将高梨を5枚差で下し、最後は野原が坂本との「主将対決」を3枚差で下し、逆転勝ちした。
浦和第一女子(埼玉第2)2-3福岡(福岡第1)
3回戦で宇都宮(栃木)に競り勝った福岡と倉敷青陵(岡山)を5-0で圧倒した浦和第一女子が対戦。福岡は副将の自見と主将の有隅が勝って2-0と先行する。浦和一女は副将の仲栄が四将の高野に勝って2-1と追い上げるが福岡は五将野上が六将世古との「二段対決」を6枚差で勝って、1985(昭和60)年以来38年ぶりの「四強」入りを果たす。
関東第一(東京第1)③-2中津南(大分)
3回戦でA級選手3人を擁する静岡の名門富士に4-1と快勝した優勝候補の関東第一が甲府南(山梨)をやはり4-1で下して決勝トーナメントに進んできた中津南と対戦。関東第一は17枚差で大勝した主将の矢島以外は「終盤勝負」に持ち込まれる。中津南は江渕が伊津野に5枚で勝って1勝。しかし関東第一は、副将小西と五将大澤がやはり5枚で勝って準決勝進出を決める。
【準決勝】
16:42取り始め。この試合からYouTubeの生配信が始まった。
浦和明の星(埼玉)2-③横浜平沼(神奈川)
先勝したのは初の決勝進出をめざす横浜平沼。四将遠藤が三将小倉を14枚で下す。一方2年ぶりの決勝進出を狙う浦和明の星女子は、副将南山が横浜平沼の三将坂田に13枚、五将南が六将中村に11枚差で勝ち2-1と決勝進出まであと1勝とする。しかし粘る横浜平沼は、主将の野原が四将の高橋和葵に2枚勝ち。次の出札、横浜平沼の七将の二段蜂巣が「あさぢ」を守って相手の六将三段吉澤に勝ち2-3と逆転勝利。7度目の出場にして初めて、神奈川県勢としても「初」の決勝進出を果たす。
福岡(福岡第1)2-③関東第一(東京第1)
関東第一は主将の矢島が福岡の四将高野に13枚差で勝ったのを皮切りに、六将の林が福岡の主将有隅に9枚で勝ち、副将の小西が五将の野上に8枚で勝って早々と決勝選出を決める。福岡は1年生の副将自見が2年の三将伊津野との「A級対決」に勝ち、C級の三将高橋がB級の五将大澤を下すも時すでに遅し。優勝候補が勝ち上がる勢いが勝った。
【三位決定戦】
浦和明の星女子(埼玉第1)④-1福岡(福岡第1)
3年生を4人入れた浦和明の星女子に対し、福岡は来年も見据え1・2年生4人を「三決」に送り込んだ。結果は浦和明の星女子が一人も5枚を切らせることなく4勝。福岡は3年の主将有隅が一矢報いるにとどまった。
【決勝】
横浜平沼(神奈川第2)2-③関東第一(東京第1)
関東第一はこの試合も主将で五段の矢島、副将で四段の小西が快走。小西が14枚差で五将の金子を下せば、矢島は10枚差で野原との主将対決を制す。六将で四段の林も9枚差勝ちと続き、早々と3勝を挙げて初優勝を決める。横浜平沼も粘って2勝をあげ、自己最高の準優勝を果たした。関東第一の山村美琴部長はネット配信のインタビューに、うれし涙があふれ「本当にうれしい。毎日練習を頑張ってきた…優勝だけ考えてきたので本当にうれしさでいっぱい。」。2年で五段の矢島聖蘭主将も涙ながらに「結果が残せてよかった。普段からコミュニケーションを図り何でも言える関係を築けたのが良い練習だった」と答えていた。
去年の優勝・準優勝校が出場を逃した今回の大会だが、ベスト4の顔ぶれも前年から全て入れ替わった。直近5年の4大会(42回大会はコロナ禍で中止)の優勝校4校は全て関東で、近年の団体戦は関東勢の強さが目立っていたが、今回の決勝も「東京対神奈川」、四強のうち3校、八強のうち6校が関東と今年も関東勢が強さを見せ、その傾向は続いているといえる。また、この5年間の4強には九州勢が4校入っていて、今回も福岡が久々に準決勝に駒を進めるなど九州勢の健闘も光っている。
初優勝の関東第一は全出場校で唯一、A級選手を4人揃え、予選の1回戦・2回戦はいずれも5-0と完封したものの、3回戦の富士高戦以降は星を落とし、準決勝・決勝は2敗している。一見苦戦したかに見えるが、実際は主将の矢島、副将の小西が早々と勝ちきり、相手に1本とられる前に他のメンバーが3勝目を挙げる「危なげない勝ち方」であった。
関東一高の栄誉を称えると共に予選に参加した399校の選手の皆さんの健闘を称えたい。