一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
伊勢
歌
難波潟みじかき葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや
現代語訳
難波潟に生えている短い葦の節と節との間、そんな短い間でさえ逢わずにこの世を過ごせというのですか。
出典
新古今集 恋一 1049
決まり字
なにはが(読み方: なにわが)
第69回名人位・第67回クイーン位決定戦は1月7日(土)滋賀県大津市の近江神宮にある近江勧学館で開催された。
開会式から閉会式まで10時間。長時間の日本一決定戦ではあったが、名人位決定戦(以下、名人戦)5試合、クイーン位決定戦(以下クイーン戦)3試合の8試合にいわゆる「凡戦」はなく、男女の日本一を決める戦いらしい見ごたえのある試合が多かった。
本稿では、熱戦が繰り広げられたこの日の近江神宮をYouTube中継では届かなかった部分も交えタイムラインで詳報する。筆者は名人戦の記録員を22回務めたが、今回は記録席に座らずに、近江神宮内を移動しながら取材し原稿をまとめた。
7日の大津市の最低気温は氷点下1℃。低いが曇り空で放射冷却がなかったためか「冬の近江」の厳しい冷え込みはない。晴れ間もあれば小雨も降る…そんな空模様の下、近江勧学館2階の浦安の間は4人の選手が創り出す熱気に包まれていく。
9時30分 松川英夫会長を先頭に4選手や役員が近江神宮本殿に参拝。参拝に向かう頃には青空も広がり気温は上がってきた。
9時55分 名人戦・クイーン戦に出場する4選手。有明の間の入口で新聞社などの写真撮影に応じる。
10時00分 開会式始まる。佐藤健司大津市長らが列席。
10時03分 松川英夫大会会長あいさつ「4人の選手は全霊を尽くしてここに来たと思う。悔いのない試合を」
10時05分 鎌田さゆり衆議院議員(宮城2区)あいさつ。「29期準クイーンです。現役の六段です。」と自己紹介しながら4選手を個々に励ます。
10時13分 西郷直樹審判長あいさつ「名人戦・クイーン戦とも実力拮抗で楽しみ」
10時14分 4選手を代表して川瀬将義名人が選手宣誓し開会式終了。川瀬名人の宣誓には、日本一決定戦を支えてくれる皆さんへの感謝の気持ちが込められていた。
★1回戦
10時20分 4選手が1回戦用の札を並べ、西郷審判長の仕切りでマスコミ用のデモ撮影が始まる。
10時45分 稲葉修至専任読手が序歌を読み上げ熱戦の火ぶたがきって落とされる
【名人戦】
前半は両者一歩もゆずらず17-19と粂原挑戦者の2枚リードで折り返す。解説室の楠木早紀永世クイ-ンは「名人戦もクイーン戦も2枚差の折り返し。白熱していますね」。差が開き始めたのは60枚を過ぎてから。11枚セームから粂原の攻めが冴え、3-10と7枚リード。粂原は1-7から86「ゆう」を攻めて7枚差で川瀬名人に先勝。同会となった先輩の荒川裕理元クイーン・上野玲元準クイーンがセコンドのように粂原に付き添い控室に向かう。
遠藤健一元名人「粂原君は会に所属してリラックスして取っているように見える」
11時57分 名人戦1回戦終了
●川瀬将義名人 7枚 〇粂原圭太郎八段(対戦成績 川瀬0勝 粂原1勝)
【クイ-ン戦】
両者に初戦特有の固さがみられ拮抗。山添は三笘のお手つきを機に抜け出しを図るが、三笘も流れを渡すまいと連取し、一時は12-13と逆転。対する山添も「札際の強さ(解説室の楠木永世クイーン談)」で押し戻し、9-11と山添の2枚リードで前半を終える。後半は三笘にお手つきが出て、60枚を読んで山添が4-12と大きくリードを奪う。山添は81「ありあ」を「ここぞの右攻め(楠木永世クイーン談)」して1-8と王手。ところが最終盤で波乱。山添は89「きみがためは」で自陣に1枚残った「こころあ」を払う準ダブル。2-4に迫った三笘は、いわゆる「送り一発」で91「たま」を攻め取り、2-3と1枚差に詰め寄る。試合の流れを引き寄せた三笘だが、最後にクイーンの山添が踏ん張る。93「こころあ」を左下段でキープし1-3、95「あはじ」は三笘に守られるが96 「ふ」を守り切り2枚差で勝利。
審判を務めた中筋規江元準クイーン「2人ともお手つきが多い。でもクイーン戦初出場の三笘さんは落ち着いている」
遠藤健一元名人「総合的には山添さんが上かな」
12時04分 クイーン戦1回戦終了
〇山添百合クイーン 2枚 ●三笘成六段(対戦成績 山添1勝 三笘0勝)
★2回戦
1240 4選手が有明の間に入室。戦いの流れが定まる2回戦は名人戦・クイーン戦ともに運命戦となった。
【名人戦】
序盤から粂原挑戦者のリードで進み11-14と粂原の3枚リードで折り返す。69枚目で追いついた川瀬名人は79枚を読んで5-6と逆転。しかし粂原は4-6から4連取して2-4と再逆転し、さらに川瀬右下段を攻めて1-4と王手。ここで川瀬は攻守に鋭い取りをみせて、粂原が「きり(2字きまり)」、川瀬が「あまつ(1字決まり)」をいずれも右下段に置く運命戦。97枚目、廣本幸紀専任読手が読み上げた「あまつ」を川瀬が守って勝利。対戦成績を1勝1敗のタイとした。
14時23分 名人戦2回戦終了
〇川瀬将義名人 1枚 ●粂原圭太郎八段 (対戦成績川瀬1勝 粂原1勝)
【クイーン戦】
前半は拮抗。山添クイーンが僅差のリードを奪いながら進むが、挑戦者の三笘はしっかりとついていき、山添のお手で逆転し12-14と2枚のリードを奪って折り返す。後半戦は両者の息詰まる取り合いでシーソーゲームながら差は1,2枚差で勝負の行方はまだ見えない。三笘は7-8から連取して5-8と抜け出しを図るが、山添はここから6連取し2-5と逆転。しかし三笘もここで攻守に連取して2-3と追い上げる。
山添は95枚目の「め」を三笘陣の左に攻めて1-3と王手。次の96「おも」は三笘が左で守って1-2。山添は右下段に「ちぎりき(1字きまり)」を残し、三笘は2枚の「き」札を下段の右と左に分けて配する。この試合の最後の空札が読まれたあと、98「きみがためは」三笘が左で守って勝負は1-1。99枚目、広本専任読手が最後に読んだのは三笘の右下段の「きり」。山添が自陣をケアしつつ三笘陣右下段に攻め取り連勝。クイーン位防衛まであと1勝とした。
14時24分 クイーン戦2回戦終了
〇山添百合クイーン 1枚 ●三笘成六段 (対戦成績 山添2勝 三笘0勝)