一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
清原元輔
歌
契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは
現代語訳
約束しましたよね。お互いに涙でぬれた袖をしぼりながら、あの「末の松山」を波が越えないように、決して心変わりはしまいと。
出典
後拾遺集 恋四 770
決まり字
ちぎりき
まず大会の出場者と形式について。現在の競技かるた界を代表する8名がトーナメント形式で対戦するのはこの大会のみ。優勝まで3回戦しかなく負ければ終わりであるため、力配分を考える必要がない。むしろ実力が均衡しているため常に全力を出しきらなければならず、最高レベルの真剣勝負が期待できる。
次に開催のタイミング。昨年に続いて新型コロナウイルスの影響によって4月開催となった。この時期は、1月の名人位・クイーン位決定戦に出場した選手からすると少し落ち着いた時期であり、他の大会も中止が相次いだことを考えると、特に名人・クイーンはピークを合わせることが難しいと考える。その一方で他の選手は今年の名人・クイーン戦予選で勝利を目指すのなら、半年前のこの時期は練習を開始しているべき時であり、有利との見方もできる。
最後に対戦の組み合わせ。今年は特に一回戦の組み合わせが面白い。取りの裏側にある精神状態や駆け引きの部分に影響するであろう、選手の関係性や相性にも注目いただきたい。
以下、初戦の各対戦について見どころを記載する。トップ選手として勝敗だけでなく、一枚一枚の取りの速さ、美しさ、正確さにも拘り、魅せるかるたを披露してくれることを期待したい。
■山添vs荒川
・通常の大会ではあまり見ることのできない同会、師弟対戦が実現。(通常の大会では他会の選手との対戦が優先的に組まれるため)
・山添クイーンのこれまでの成長には、荒川元クイーンの存在が大きかったことは言うまでもない。
・現役クイーンとして、この大舞台で先輩を倒して成長を見せることが恩返しであるという意気込みで臨めるか、実力や戦い方よりも精神的な部分が勝敗に影響するだろう。
・一方の荒川元クイーンは、山添クイーンの取りはもちろん性格までも熟知している。
・プレッシャーをかけながら勝利を手繰り寄せるような、ベテランらしい堅実な取りを重ねていくだろう。
・お互いに相手陣を攻める形を基本として一進一退の攻防が期待される。
・新旧クイーン対戦として、取りだけでなく選手の心理面にも注目いただきたい。
■矢野vs山下
・本大会初出場となる矢野準クイーンは、クイーン戦では本来の実力を思うように発揮できなかったが大きな経験を積んだ。
・その後、経験を成長へ変えることができているのか、本大会の取りを見れば明らかになるだろう。
・感じの速さを活かしつつ、気持ちを強く持ち相手陣を攻めて山下元クイーンのペースを乱していきたいところ。
・一方の山下元クイーンは本大会2連覇中で、取りの正確さや美しさだけでなく、ここぞという時の試合は特に強い。
・クイーンの重圧、呪縛から解き放たれ、このちはやふる小倉山杯が新たに自分を輝かせる場所であるかのように、試合を楽しむ余裕もある。
・序盤からプレッシャーをかけながら自陣、相手陣に関係なく確実に札を減らしていくだろう。
・両選手は旧知の仲であり、クイーン戦を前に何度か練習を重ねているが、矢野準クイーンにとっては初戦から大きな壁が立ち塞がることになる。
■川瀬vs三好
・1月の名人戦を勝利した川瀬新名人は、実は三好選手には過去の対戦においては2戦2敗と分が悪い。
・相性の問題もあるのかもしれないが、川瀬名人の実力が当時から数段上がっていることを考えれば意味のないデータだろう。
・不安要素があるとすれば、初戦の立ち上がりがあまりよくないこと、苦手意識や負けイメージが残っていないか、という点が挙げられる。
・一方の三好選手は本大会初出場ではあるが、緊張するタイプには見えず大舞台にも強い。
・これまでの経験と持ち前の集中力で、この初戦に全てをかけて川瀬名人を倒しにいくだろう。
・ベテラン選手になりつつあるが、勝負への瞬発力はまだまだ十分にあり、上手さを兼ね備えた取りで川瀬名人のペースを乱すことができれば勝機はある。
・両者ともに相手陣へ鋭く攻めながら、同時に相手の攻めをどのように巧みにかわすのか、注目のポイントである。
■粂原vs自見
・一回戦の中で最も注目すべき対戦は、昨年の名人戦の再戦であり、本年の名人戦西日本予選における大本命二人による前哨戦と言える。
・過去の対戦は粂原前名人が大きく勝ち越し、昨年の名人戦においてもストレートで勝利している。
・自見選手も年々実力を上げているが、粂原前名人は依然として越えなければならない大きな存在である。
・自見選手が昨年の名人戦からどのように成長したのか、また粂原前名人相手にどのような対策を考えて勝負を挑むのか注視したい。
・一方の粂原前名人にとっては、名人位に返り咲くという先を見据えると、この自見選手との対戦は絶対に落とせない。
・また、本大会では2度の準優勝を経験しており、初戦に勝利して調子を上げ、川瀬名人、山下元クイーンへリベンジを果たし、念願の初優勝という最高のストーリーを描いていると想像する。
・見どころは粂原前名人の右陣であり、ここを中心に攻防が繰り広げられるだろう。
・どちらが主導権を握るのか、激しい接戦になると予想する。
※写真は第2回ちはやふる小倉山杯の写真です。