一日一首
ランダムに変わる取り札を見て上の句を当てる練習ができます。毎日の腕試しにご活用ください。
歌人
前大僧正慈円
歌
おほけなく憂き世の民におほふかな我が立つ杣に墨染の袖
現代語訳
身のほどを過ぎて、憂き俗世の人たちに覆いかけることよ。私の立っているこの比叡山に住みはじめた墨染の袖を。
出典
千載集 雑中 1137
決まり字
おほけ(読み方: おおけ)
令和4年1月 7日(金)、第68期名人位・第66期クイーン位戦前夜祭小倉百人一首文化講演会が開催されました。
講師は、同志社女子大学名誉教授でいらっしゃる朧谷寿先生です。これまで歴史分野からの講師の先生が少なかったことから、歴史学者で平安朝史が御専門の朧谷先生に講演を依頼しました。
講演では、冷泉家が秘蔵していた数々の非公開資料を公開するにあたり、朧谷先生は目録作成に協力されたことから、藤原定家の書が冷泉家に伝授された経緯を解き明かして下さいました。家系図を見ながら、当時の社会情勢、人間関係、時にはその人の気持ちになって解きほぐしてくださいました。想像ではなく、確かに残る記録と実際に冷泉家に守られてきた史料に基づく語りはとても説得力があり、聴衆を引き込んでいきました。
国宝クラスの多くの文献を読み解いていく朧谷先生のお話はまるで謎解きをしているかのようでとても興味をそそりました。まさに定家とその家系の人々のドラマが眼前に繰り広げられているようでした。この講演を聞いた方々は、どのように冷泉家が生まれたのか、どうして定家の史料が冷泉家に受け継がれたのかが分かったのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染拡大の中、聴衆数が少ないのではないかと心配していましたが、講師の朧谷先生は公益財団法人古代学協会理事長をはじめ、源氏物語アカデミー監修者、紫式部顕彰会副会長、「古典の日」推進委員会アドバイザーなど多くの役職をお務めでいらっしゃり、「朧谷先生の講演をぜひ聞きたい」と熱望された方が多く、会場の座席が足りなくなるほどの盛況となりました。このようなすばらしい講演をしてくださった朧谷先生に心から感謝申し上げます。
この文化講演会は後ほどYouTubeにアップする予定でおります。参加できなかった方々にはぜひ視聴していただきたく存じます。
来年も文化講演会を実施する予定でおりますので、多くの方々の参加をお待ちしております。